幽霊となってしまった冬美を生き返らせるアツイ「血意」で吸血鬼スタズがクールに戦う『ブラッドラッド』。作者の小玉有起先生に、漫画家になったきっかけや漫画制作方法をお聞きした!コミックマーケットにて先行公開した東京マンガラボ冊子のインタビュー記事ノーカット版です!


漫画に出会ったきっかけをおしえてください。

小玉先生(以下小玉)小学2、3年生の時、アニメの『ドラゴンボール』の話をしていたら、なぜか友達が先の展開を知っていたんですよ。それで、『ジャンプ』で漫画の『ドラゴンボール』が連載していると知ったのが出会いです。

いつ頃から漫画家になりたいと思ったのでしょうか?

小玉『トイストーリー』『バーチャルファイター』等の映画やゲームの3D作品が好きで自分も作りたいと思い、専門学校の3D科に入学しました。でも、モデルに対して縮めたり伸ばしたりする細かい作業が向いていなかったので、いつの間にか2D科の学生の人達とたむろするようになり、結局在学中は2Dアニメーション制作ばかりしていました(笑)。そのまま卒業制作をする時期がきてアニメーションの監督を務めたのですが、絵コンテをきる作業などがすごく楽しくて、このようなことを仕事にしていきたいと本気で考えるようになりました。でも、アニメーターになるのでさえ大変なのに、監督になって自分がやりたいことを目指していくのは茨の道だろうなと……。それで、集団作業ではなく一人から始められる漫画を描いてみようと思いました。

アフタヌーン四季賞で佳作を受賞された経緯をおしえてください。

小玉ネットコミュニティで知り合いだったコザキユースケ先生のアシスタントになり、ほぼ知識の無い状態から漫画の描き方を学びました。アシスタントを始めて1年経ち、アフタヌーン四季賞で勝負してみようと投稿したんです。でも、3Dから挫折してほぼ何もわからない漫画家の道に進み、思うように描けず苦戦していた頃で、客観的に見てこれはダメだろうと思っていました。だから、編集部から受賞の電話がかかってきたときは、漫画家人生で一番嬉しかったです……!

『ヤングガンガン』にて『辻斬りまこちゃん』を掲載された経緯をおしえてください。

小玉一緒に仕事しませんか、とヤングガンガンの方から声がかかって……いきなりだったので驚きました。とりあえず、賞に出すために一本描いてみることになり、十何時間も会議室に籠って、落書き程度の絵を描いてはアイデアを出し合いました。「何でこのキャラクターは刀持ってるの?」「辻斬りするんですよー。」「辻という先輩を切りに行く話どうよ?」という感じでキャラとストーリー展開を話し合い、『辻斬りまこちゃん』が完成しました。そして、賞を頂いて掲載されることになりました。

小玉『ミチバタメモリーズ』では、なぜ原作有りで掲載したのでしょうか?

担当さんから企画を紹介されて、画力を鍛えるためでもありましたが、単純におもしろそうだと思い引き受けさせていただきました。正直、ここまで勢いで描いてきたので、漫画制作方法をしっかりと学ぶ良い機会になりましたね。効果的な見せ方やその理論を編集の方にもおしえていただきました。

『ヤングガンガン』にて『ダイサイズ-DIESIZE-』を掲載された経緯をおしえてください。

小玉ソッコーで打ち切りになりましたね(笑)。担当さんも僕もお互い二十歳ぐらいで仲が良くて、完全に悪のりでゲラゲラ笑いながら作った漫画だったんです……(汗)。RPGが現実になったサバイバル系の漫画を前から描きたくて描いたのですが、圧倒的な総スカンをくらってすぐ終わりました。それで、反省したのち、開き直って描いたのが『アソビバ』です。

『アソビバ』のネタはどこから着想を得ていましたか?

小玉部長(キャラクター)みたいな遊びが大好きな担当さんが新しいカードゲーム考えて、ルールを聞くんですが、「それルールおかしくないですか?」「いいんだよ、そういう細かいことは。」という、いつもの雑談の雰囲気をそのまま漫画にしました(笑)。

『ヤングエース』にて『ブラッドラッド』が連載開始した経緯をおしえてください。

小玉次の仕事を求めていた時、有難い事にいろいろな所から声かけをいただいたのですが、創刊が間近で早く連載できる『ヤングエース』さんで描かせて頂くことになりました。
キャッチーな要素は読者が作品に入りやすく、そして一般的なイメージが強固ですし、それを逆手に取れば読者の裏をくこともできます。そこで、主人公を吸血鬼にして、「吸血鬼なのに血を吸わない」という形で裏をかいてみました。そういえば、普通という基準がほしくて舞台を魔界でなく人間界にしようという案もありました。唯一の人間だった冬美が幽霊になり、人間、つまり普通がいなくなってしまうので(笑)。結局、魔界だからといってファンタジー色を濃くせずに、僕らの人間界のような生活をすることによって基準ができたので、舞台を魔界にしました。
当初はいつまで連載できるかわからない状態だったので、毎号ずつ必死にストーリーを考えていましたね。今では、結末をほぼ決めてストーリーを考えています。
後から聞いた話ですが、結構人気が危ない時期があったそうです。でも、主人公に全然吸血鬼っぽい要素がないからその分をカバーしようと考えて、ナルシストでいかにも吸血鬼な兄貴を登場させたら人気が盛り返したらしいんです。この漫画は兄貴に救われました(笑)。

1巻発売時にはサイン会が行われましたが、どうでしたか?

小玉1巻でサイン会なんてめちゃくちゃ不安でしたよ。それまで培ってきたものもないし誰も来ないだろ、と思っていました。でも、読者が来てくれて励みになりました!
1巻の段階で、かなり冒険だったのではと思いますが、期待してくれたのかなと思うと嬉しかったですね。

アニメ化の話がきた時の心境はどうでしたか?

小玉すごく中途半端なタイミングでアニメ化の話をぽろっと聞いたんですが、映像化の話はあっては消えあっては消えで、大体は実現しないものと知っていたので半信半疑でした。

アニメを見てどう思われましたか?

小玉シナリオの会議に参加したり、キャラクターのイメージに合う声優さんのオーディション音源を聴いたりとアニメ制作に関わらせていただきましたが、放送されたのを見ても実感がなかったですね。現実感がないというか…漫画を描くことが当たり前の日常生活だから、外に出て自分のキャラクターを見ると、なぜ家の外にあるのか変でしょうがなく思うんです。でもその非日常間がすごく楽しくて、わくわくしてました。

『ブラッドラッド』と『ハマトラ』の同時連載はどうでしたか?

小玉忙しくてもうあまり記憶がないです(笑)。アニメの『ハマトラ』とのつじつま合わせと内容の相違を統合するために、何回も一からやり直さなければならなかったので、とにかく必死でした。

アニメ『ハマトラ』のキャラクターデザインはどういう経緯で行ったのでしょうか?

小玉アニメ企画のプロデューサーの方が、『ブラッドラッド』を見てキャラクターデザインをお願いしてくれました。5枚くらいの企画書しか決まっていない状態は不安でしたが、やりたい事や好きなものが合っていて、是非一緒に仕事したいなと思ったんです。この仕事を通して、アニメというのはいろんな人や会社が関わって作られることを再認識しました。

キャラクターデザインはどのようなオーダーでしたか?

小玉当初、ナイスは内気な性格で体が硬い能力を持っている設定だったので、塞ぎ込んでいる感じを出すためにヘッドホンをつけて、いろいろ体に当たるだろうと傷だらけにしたんです。でも今となっては両方の設定が微塵もないですね(笑)。
オーダー通り描いてもオッケーがもらえるかもしれませんが、それだけでは全然おもしろくないので、何かもう1個をプラスするようにしています。オーダーと全然違うようなキャラクターを作るくらいの勢いが大事だと思って描いてました。

読者を引きつけるキャラとテンポ良いストーリーをどう作っていますか?

小玉キャラ作りは、優劣の天秤のバランスを取ることが自分の中では重要です。例えば、イケメンキャラを描くときは、かっこいいパーツばかりをつけるとおもしろくないので、あえてかっこ悪いパーツを加えたりします。どんなにかっこいいキャラクターでも僕らと同じように弱点があるとかわいいじゃないですか(笑)。
ストーリー作りでは、このストーリーにしたいという僕の意思があるけど、それぞれキャラクターは思い通りに動いてはくれないので、どういう展開にしたらキャラがストーリーに沿ってくれるのかと試行錯誤します。例えば、『ブラッドラッド』の主人公スタズはヒロイン冬美を生き返らせる以外の理由で動かないキャラだから、彼をストーリー上ある場所に行かせるためにはどういう展開にしようか、と考えるんです。
そして、食事をしながら会話をしているようなゆったりしたシーンではキャラの個性やキャラ同士の関係性を出そうと描いています。あと、描きながら読者の立場になってネームや原稿を見返し、読んでいてどのようなテンションになるのかをつかむようにしていますね。読んでいるうちにテンションが上がって当初の想定外だったコマが見開きページになってしまい、アシスタントさん達を驚かせてしまったこともあります(笑)。

アシスタントにはどのような指示を出していますか?

小玉細かい指示は出さずに、アシスタントの持ち味で描いてもらいたいし、楽しませてもらいたいんです。ラーメン屋を描いてと大まかに指示を出して、カウンターにティッシュを描いていた時は、よくぞそこに目をつけたと感動しましたね!そういうところで技術向上になればなと思っています。

漫画家という仕事を続けている理由をおしえてください。

小玉ここまででいいやって思えないからです。もっとやりたいことがあるし、見せたいものがあるので、それを許されるかぎり発信し続けたいので、描かせてもらえる場があるなら描き続けたいです。

今後の目標はありますか?

小玉海外にも受け入れられるような作品作りをしていきたいですね。それと、真面目なファンタジーものも描いてみたいです。

最後に、漫画家を目指す学生にメッセージをお願いします。

小玉漫画だけを参考にして漫画を描かない方が僕はいいと思います。小説、映画、ゲーム、音楽、なんでもいいですが、いろいろなところから吸収していくことがイメージに繋がり、ゆくゆくは自分の表現へ繋がっていくはずです。漠然としていて申し訳ないですが、大事なことだと思います。

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