大学1年まで小説を書いていたそうですが、漫画を再び描くようになったきっかけは?

とーこある日コミックスタジオという存在を知り、付けペンじゃなくても漫画描けるんだ、これはいけるぞ!と思って早速ソフトを購入したんです。これなら漫画が描ける!という嬉しさのあまり、小説書くのを止めてしまったんです(笑)  これがなければ自分は漫画家になれなかったという偉大なソフトです。書かなくなるとコツを忘れてしまうので、逆に小説は書けなくなってしまいましたね。

その後絵の道に進もう!と思われるようになったきっかけはありますか?

とーこ就活セミナーに行っても、当たり前かもですがワクワクしないし、そもそも朝が弱いので遅刻しまくるんじゃないかという不安がありまして(笑) ところが大学3年生にもなると嫌でも就職課から「就職活動どうなっている?」という呼び出しがくるんですよ。就職という選択肢が霞んでいるときに呼び出しがきてしまい、その場で「就職しないでイラストレーターになります!」と言ったら、課の人が思いのほか褒めてくれたんです。「そうやって自分で自分の道を決めている人は少ないから、是非それを貫いて欲しい」と言われ、友達は「就職しないって選択肢あるの!?」みたいな感じだったんですけど、これで良いんだという風に自信と共に背中を押された感じがしました。

絵の道で食べていくことを決めてから、「こういう風にやっていこう」という計画は、ご自身の中にありましたか?

とーこ漫画家の道を目指している人には本当に申し訳ないんですけど、自分が漫画家になれたのは、完全に「運」なんですよ。
卒業してからはバイトをしながら、イラストレーターの仕事を月に2~3万くらい、不定期でほそぼそと続けながら、あとは同人誌を描いていました。そんな中、地元の博物館で発掘調査や、発掘された遺物の整理をする人を募集しているのを知り、考古学好きだったので「行くしかない!」と思って博物館の臨時職員になったんです。
働いている内に上司から、「公務員試験受けて、きちんと博物館で働いたら」と提案され、イラストは同人でできるからいいやと思って試験勉強を始めたんです。そんな時期に、たまたま一迅社の編集さんからアンソロジーのイラストを描いてみないかという話が舞い込んできたんです。某有名イラスト補足サイトで探してサイトにいらしたらしいんですけど、それをたまたま今の担当さんが見つけてくれたのは、それこそ「運」だと思っています。

公務員試験を受ける前だったということで、迷いはなかったのでしょうか。

とーこ一迅社自体は以前から知っていて、「初めて出版社から連絡が来た!」と舞い上がってしまい。しかも自分が好きなキャラのイラストで良いとのことなので、迷わずに描きますという連絡をしました。そのあとに「イラストじゃなくて漫画を描いて欲しい」と言われ、「これはマズいぞ」と焦りましたね(笑) 漫画をほとんど真面目に描いてないのに、商業本に原稿を載せるなんて……どうしようかなと思いながら人生で初めて描いたネームを送ったんですけど、「初めての割にはちゃんと出来てるよ」と褒められて嬉しくなっちゃって、そこから漫画をちゃんと描き始めた感じです。

薄子さんも、友達に頼まれていきなりバイトを始めたり、保育園を手伝い始めたりと、他人に引っ張られることによって世界が広がっていくことが多いですが、お話を聞いていると先生が同じような体験をされてきたことによって、あのようなエピソードが生まれたのかと思ってしまいます。

とーこそうかもしれませんね。7巻ぐらいまでの薄子は受動的で、周りが運良く話をくれるおかげで、薄子も、皆も幸せになっているという感じだと思います。
ただ、9巻くらいの話になっちゃうので詳しくは言えないんですけど、大学4年になり薄子自身も「変わっていかなきゃ」という風になっていくのが、これからの話の中心になっていくと思います。REX読者の人はもう分かっていると思うんですけど、単行本派の人はもうちょっと待っていてください(笑)