女の子は空から降ってこない!幼馴染は隣に住んでいない!異世界から居候はやってこない!
男として完璧なスペックを持ちながら「彼女いない歴=年齢」な主人公、東堂院聖也のリアルな恋愛模様を描いた『なぜ東堂院聖也16歳は彼女が出来ないのか?』の最終巻が先日発売された。物語は完結したものの、実写ドラマ化が既に発表されており作品の勢いはしばらく止まりそうもない。
異性との付き合い方にもがき苦しむ男の悲哀を軽やかなコメディタッチで描ききった本作の作者の一人内乃秋也先生を直撃し、作品の誕生秘話やドラマ化にまつわるお話などを伺った!


『なぜ東堂院16歳は彼女が出来ないのか?』(以下『東堂院~』)が連載に至るまでの経緯からお聞きしていきます。まず、なぜ茂木完田先生と組まれることになったのでしょうか。

内乃秋也先生(以下内乃)以前からの知り合いではなかったので、きっかけは編集さんの紹介でした。当初は僕が原作担当で、茂木さんが作画で漫画を作るという形で話を振られていたんです。僕もどちらかというと絵を描くよりも物語を作る方が好きでしたし、絵がすごく上手い人と組めるなら一人で頑張るよりもデビューが早いかもしれないと思い、編集さんの提案を受けることにしました。

そこからどのようにして『東堂院~』という作品が生まれたのでしょうか。

内乃一年ぐらい連載ネームを描き続けていたんですが、なんだかんだとボツ続きで上手くいかなかったんです。当時描いていたのは裏社会を舞台にした心理バトル漫画など、今とは全く違うジャンルでした。そこから描くものが無くなってどうしようもなくなったとき、ふと「恋愛漫画を描いてみたらどうだろう」と思ったんです。
元々男性向けの恋愛ものはそれほど好きではなかったし、作品としてもほとんど描いたことがありませんでした。もちろん読んではいたんですけど、「男だったらこんな風に考えるかな」「女の子はこんなに都合よくないよな」とひっかかることも多く、自分が読みたい恋愛ものはこういうのじゃないというモヤモヤがありました。だからこそ、逆にそんな自分が恋愛漫画を描いたらどうなるだろうと以前から漠然と思っていたんです。他にアイディアもなかったし、自分のもやもやを解消するためにも思い切ってやることにしました。

「全てがハイスペックなのにモテない」という東堂院聖也のキャラクターはどのようにして生まれたのでしょうか。

内乃実は聖也は元々、連載案でボツになっていたマフィア漫画のキャラクターでした。それから『東堂院~』の主人公は、最初は至って普通の冴えない男の子にする予定だったんです。そうしたら初代の担当さんに「このリアルな恋愛話で普通の男が主人公だと、読んでいてあまりにも辛くなる」と言われてしまって(笑)。どこかにフィクションの要素が必要だとアドバイスされ、それなら以前に描いた金髪イケメンキャラを主人公にするのはどうだろうというアイディアを思いついたんです。実際に描いてみるとただモテないだけでないギャップが出て面白く、スルスルとネームが進むようになりましたね。

「読んでいて辛くなる」という話がありましたが、『東堂院~』の一つ一つのエピソードには身につまされるようなリアリティがあります。やはり、内乃先生の実体験は作品に反映されているんでしょうか?

内乃もちろん実体験はふんだんに入っています(笑)。連載前は描くのが怖かったですね。自分にも色々なトラウマがあるので、それをほじくり返すのは正直嫌だなと思っていました。実際最初の方は自分で描いていて心が痛かった……でも漫画を面白くするにはやらなきゃしょうがないなと、勇気を出して描いていました。他にも、聖也の行動は「自分だったらこう思う」ということをそのまま素直に描くようにしていました。

先生の実体験や感覚がそのまま盛り込んでいるからこその「迫力」が作品に込められていたと思います。話は変わりますが、『東堂院~』では「原作・作画」といったクレジットがふられていません。茂木先生とはどのように作業分担していたのでしょうか?

内乃先ほどお話した通り、当初は僕が原作担当で茂木さんが作画担当になるはずでした。しかし『東堂院~』を連載するにあたり、この話なら女の子は僕が描いた方が良いんじゃないかという話になったんです。ただ、カッコイイ男を描くのは茂木さんの方が断然上手かったので、最終的にネームの作成から聖也「以外」のキャラクターから背景までの作画を僕が担当し、聖也の作画のみを茂木さんに担当してもらうことになりました。

主人公専属の作画担当というのは珍しいですね。実際の作業や打ち合わせはどのように行っていたのでしょうか?

内乃まず僕が下書きを描いたうえでどんな表情やポーズで聖也の絵が欲しいか指示を原稿に描き、その原稿を一旦郵送して茂木さんに聖也の絵を入れてもらい、改めて送り返してもらっていました。作品についてのやりとりはほぼメールやLINEでやっていたので、直接会うのは半年に一回ぐらいでしたね。最初はもっと大変かと思っていましたがやってみると意外と上手くいき、むしろ仕事を分けている分作業も早く進むようになりました。茂木さんの絵を浮き立たせるというか、聖也と他のキャラクターで世界観を分けて描きたかったので、試みとしては成功したのかなと思います。

 

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「女の子は全て自分が描いた」という言葉通り、スイスイとサインを描き進める内乃先生。インタビュアーはクレジットの順番からてっきり原作者だと思い込んでいたため腰を抜かしたという(笑)。
 
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