「それでもアイディアが出なければ……」

ネームの切り方を教えてください。

なぐも。4コマだと、8ページで15本が基本フォーマットとしているので、無地のノートにまず1~15まで番号を振ります。次にその15本の1本1本で何をするのかという全体の大まかな流れを、文字だけで作っておきます。それを元に、4コマの1コマ1コマの中に誰が何して何喋る?という字コンテを記入していきます。そうしてネタがまとまったら、初めて絵を入れてネームにしていく感じです。

毎月15本分の4コマのネタを考えるのは大変だと思うのですが、話が詰まりやすい箇所はどこですか?

なぐも。自分の場合、埋まらないことが多いのは冒頭の1本目です。話の導入として、今月はこういう話ですよというのを説明してしまうのが1番作りやすいのですが、それだけだとマンネリになっちゃうんですよね。それだと芸がないので頑張って変えようとするんですけど、それならどうしたらいいんだろう……と毎回頭を悩ませています。
導入の部分が埋まっても、これではネタ的に弱いなと納得いかないことが多くて、どうしても自分では埋まらないときは、担当さんとどういう要素が足りないのか相談します。きららの場合は「キャラクターを描く」ということをメインにしているので、1~15まで全体の流れを見て、どのキャラのどういう心情が足りないのかなど、描写するキャラの偏りがないように足りないところを埋めていきます。

それでも、どうしても埋まらないときは……?

なぐも。無理やりひねり出します(笑) こういう時僕がよく表現するのは、「乾いた雑巾」なんです。乾いた雑巾をぎゅ~っと絞ってようやっと1滴、アイディアがポトン、と落ちてくる感じです。

今までインタビューした先生の中には、4コマ作品が実は1番大変だとおっしゃっている方もいらっしゃいました。逆に、4コマ作品ならではの楽しさはありますか?

なぐも。4コマの話を組み立てるのは、自分の中では「パズル」って感覚です。大喜利的な要素や言葉遊びとして、色んな言葉のなかから、どれとどれを組み合わせるか、どれが上手く当てはまるのかというのを、いつも探している感じです。それが上手くはまったときというのは嬉しいですね。

お話作りに引き続き、次は作画面で気をつけていることを教えてください。

なぐも。似た構図が続くと読んでいて退屈してしまうと思うので、なるべく構図やアングルを変えるようにしています。気を抜くと「顔だけ漫画」になってしまうので、なるべく背景だったり小物だったりを写して、キャラクターの顔を描かないコマを意識的に作るようにしています。

確かに、先生の作品ではアオリや俯瞰を付けたコマが多いような気がします。

なぐも。自分じゃそういうつもりは無いんですが……そうなんでしょうか。上記の「絵が退屈にならないように…」ってところが現れているのかもしれません。アオリや俯瞰は手間暇かかるんで、描かない方が楽は出来るんですけどね(笑) なんででしょうね。嫌なのに描いてしまう。動きの少ない立ち絵などは試行錯誤も大してせずにをスラスラ~っと手癖で気持ちよく描けるし、そればっか描いてればいいのかもしれませんけどね。
あ、それと背景でも、コップとかお皿は苦手です。パースが付いていたり、コップなんて厚みがあるじゃないですか。絵描きにとっては最悪の道具ですよ(笑) ネームで描いていて、なんでこんなの作中に描いてしまったんだ……と泣きながら描きあげています。

完結記念!『ウォーターガールズ』制作秘話。

当初は3話限定のゲスト読み切りでした。その頃から連載案として考えていましたか?

なぐも。初めに、単行本になったときの事を考えたんです。連載としてそのまま話が続いた時のことを想定すると、3話でひと段落する話を描いても、単行本になったときに意味がないなと思いました。ですので、最初から連載のつもりで話を組み立てました。
3回で終わるということは人気がないということなので、単行本にもならない、あとには残らないので、終わってしまうのならそれでいいやと(笑)

『ウォーターガールズ』は「泳げない水泳部」というコンセプトが面白かったです。キャラクターが先にできたのか、舞台が先に整ったのか教えてください。

なぐも。前作の『ラジオでGO!』が終わったとき、次の作品をどうしようかという打ち合わせをした際、担当さんから『ラジオでGO!』の「白玉あんみつ」―作中に登場するラジオリスナーなキャラ―あの子のようなキャラクターをメインに据えたらどうかと提案されたんです。彼女はリスナーから段々と成長していったキャラだったので、次は成長物語を描いて欲しいのかな?と思いました。
そのとき、中学の頃に夏の間だけ水泳部に入っていたのを思い出したんです。「水泳、題材としていいんじゃね?なにせ水着だし」ということで(笑)、まず最初に水泳部という舞台が決まりました。
ところが僕自身、泳ぎが速かった訳でもないし、大会に出て勝ち進んでいったという経験がないので、そういった心理描写が描けなかったんです。
それなら、一からの成長物語ということで、カナヅチから段々泳げるようになっていくという話にしよう。そこから、「カナヅチ側」の下級生と、「教える側」の上級生という対比でキャラクターを作っていくことにしました。

前作では男女両方のキャラクターが登場していましたが、今作は主要キャラすべてが女の子でした。

なぐも。連載前のやりとりで、担当が出してきたもう一つの指令が『前作と同じものを作るな』ということでした。ならば前作『ラジオでGO!』から継承する部分はどこか?変える部分はどこか?というのを考えたところで、男女の恋愛要素は外して、女の子のみの緩いスポ根の成長物語にするという風に方針を決めました。

下級生と上級生では、どちらの方がキャラとして作りやすかったですか?

なぐも。先輩側は作りやすいかったです。多くの先生方もそうだと思うのですけど、脇役はとても作りやすいですね。1番動かしやすかったのは部長の晶。彼女は好き勝手動かせるキャラなので。
逆に下級生グループは、物語の軸となる「成長」の部分を描く必要が出てくるシーンが多くて、割と真面目な話になりがちでした。毎度真面目な話をしても面白くないので(笑)、いかに馬鹿な方向に転がらそうか、いつも悩んでいました。

その中でも、先生のお気に入りだったキャラクターは?

なぐも。決められないです。自分のキャラは全員超可愛いです。もう大好きでしょうがない。それが活き活きと動いていれば、なおたまらない(笑) ただそれを、1番強く思うのはいつなのかというと、どういう訳か〆切間際なんですよ。「あーもう可愛くて仕方ない!!たまらん!!!ってときは、「ああ今自分、辛いんだな」っていう判断基準になります(笑)

それではこの章ラストの質問です。前作の『ラジオでGO!』もそうなのですが、『ウォーターガールズ』においても、最終話のラストシーンが1話目のラストと繋がっているなど、お話のまとめ方が素晴らしいなと読ませて頂きました。

なぐも。作品を終わらせるときにどうやって風呂敷を畳むかは、自分としてはかなり考えるところだったりします。「この作品って、そもそもどういう作品だったんだろう?」というのを考えます。作品が持つテーマとか、この作品でどういう事を描きたかったのかというのを、改めておさらいをするんです。
連載始めるときって、芯になる部分はあるにせよ、それを漫画としてパッケージできる程には明文化されてなくて、細かい所はあやふやだったり。それをはっきりと定義付けるのが、自分の場合風呂敷を畳むときなんです。逆に作品が終わらないとそういうことを考える機会って、描いている間は目の前の原稿に追われて中々自分の中に訪れなかったり。なので、終わるときの作業行程って、寂しさ反面、ちょっと楽しかったりするんです。
自分の技量が試される時というか、どれだけ深く考えられるのかということが、次回作にも活かされるような気もします。まだ二作しか描いていないので、本当かどうかはまだわからないんですけど(笑)

 

最後に、漫画家を目指す学生の方へメッセージを!

なぐも。このサイトを運営されているのが大学生さん達って事なので、その辺りの方向けに。その頃の年だと「一度人生のレールを外れたら二度と戻れない」という焦りとか強迫観感が強いんじゃないかな?と思うんです。なにより、僕がそうでした。特に22歳くらいになると、就職した方がいいのかなー、絵の道諦めたほうがいいのかなー、親も「良いから戻ってこい、現実を見ろ!」ってうるさいしなー……という人は、絶対いると思います。
正直、それも手です。その方が、頭の良い、賢明な道だと思ってます。頑張ったからといってなれるもんでもやっていけるもんでもありませんので。
ただ、その焦っているであろう「人生のレール」という見えない何か。実はそんなものはありません。ソースは、一度は全てを諦め、周囲からも諦めさせられてサラリーマンをやってから、絵の世界に戻ってきた人間もここにいるという事です(笑)
当時からの絵描き仲間は「なぐもはあの時『(絵描き生命が)終わったな……』って思ったよ。まさか戻ってくるとはな」と、今も酒の席で僕に言ってきます。だから、悩み諦め他の職業を選んだところで、漫画家の道が閉ざされる訳でもないし、やろうと思えばいつでも戻ってこられるはずです。やりたい時にやれば、何かしら道は見つかるはずなので、とにかく楽しく、やりたいことやれば良いと思います。
本気でやりたいと思っている人は勝手に絵の道へと進んでいくはずなので、僕が言うまでもないんですけどね(笑)
僕もまだまだまだまだまだまだ若輩者です。お互い頑張りましょう!

nagumo

文責:あたた(@atatakeuchi)
取材協力:MTL


ページ 1 ページ 2