3章:人には言えない野望を持って

その他に漫画を描く際のこだわりがありましたらおしえて下さい。

小川きれいで整ったな漫画よりも、荒唐無稽でいいのでがんばって描いているようなアナログのエッセンスを取り入れた漫画が好きなんですけれど、最近はちょっとブレてきて、きれいめに落ち着けたほうがいいのかな、と迷ったりもしています。それと自分が漫画を読む時に引っかかるのが嫌なので、読者の視線誘導に関しては力を入れていると思います。『飛空士』の一巻が出た時に友達から「読みやすいよ」と言われて、最初は画面が白いからかなあと考えていたんですが、最近になっても言われるのでこれは自分の持ち味なのかな、と思うようになりました

最近取り入れ始めた漫画のこだわりは?

小川最近、いろんな作家さん達と知り合うようになって気づいたんですが、少年漫画やロボットアニメのような男の子が好きなものを好んで見てきたせいか、女性作家さん達の目線が私には欠けているなと。読者が見てないような所まで服装やアクセサリーや髪型にこだわる漫画家さんっていますよね。私も、なんちゃってでいいから頑張ってみようと取り入れ始めました。昔はシンプルな髪型しか描けなかったけど、最近は『ぼっち侵略』のアイラちゃんの髪型を変えてみたり、大鳥先輩が戦う時の服装を変えてみたりしています。

どのような影響を同業者の方から受けていますか?

小川だいたい漫画家はそれぞれ独自の哲学や技法を持っているのですが、やはり手の内は明かさないんですよね。けれどそれがにじみ出るというのはよくあります。そういうのを見たり聞いたりした時に吸収しようと企んでいます。

自身の作品で一番好きな話をおしえてください。

小川『飛空士』3巻のファナが機関銃を打つ話です。原作で8ページくらいしか進まない話を30ページで描くことになり苦しい思いをしましたが、知り合いの漫画家の方に褒めていただいたんです。この話をきっかけに漫画の構造を論理的に考えるようになりました。

今後の課題や目標があれば、お聞かせ下さい。

小川絵や話作り等々いっぱいありすぎてわかんないです。でも、一番に思うのは、もっと吸収することです。そのために、読むのが遅いですが本を読んだり、様々な作品を意識して見たりしています。見るという入力だけでなく、それを上手く描くという出力が必要なので、入力で見た作品の作者の目線を取り入れて自分の漫画で出力しようと思っていますね。あと、はっきりくっきりした話と淡々とした話を意識して使いわけて描けたらなと思います。

これまで漫画家という道を進んでこられた理由や心の支えは何でしょうか?

小川目的だと思います。漫画家になって有名になりたい、というものですね。有名になりたいのは手段で、さらに別に目的があるのですが、それは秘密です。その目的を達成するにはまず有名にならなければいけないので、頑張っている最中です。そういうはっきりした目的が漫画家を続けている理由であり、心の支えでもあります。無名のままで終わりたくはないですね。

最後に、漫画家志望の学生へ向けてメッセージをお願いします。

小川私の経験則からの話だと、漫画にどっぷり浸かるだけでなくたくさん遊んだり、自分とは違う絵柄で描いたりしてみるのもいいと思います。フランスとイタリアに旅行をしたことがありますが、それは『飛空士』の世界観や『ぼっち侵略』の表紙などに活かされています。日本とは全く違う風景が目の前にあったので、何より楽しかったですね。海外旅行に行けば良いという話ではないんですが(笑)。他には小説、例えば本屋がピックアップするような「読むべき小説百選」みたいなのを全部読むような勢いで吸収するのが良いのではないでしょうか。それから個人的な話なんですけど、ゲッサンで連載を始めてからも他の作家さん以上に二次創作で知り合った仲間との親交が深かったりします。漫画を描く仲間が集って「こんな漫画を描きたいんだ!」というような夢や思想を語ったりしないと、漫画に対する情熱が保てないというか。漫画についての語らいって本当に楽しいじゃないですか。明日忘れるようなことでもいいんです。楽しいことは絶対にやるべきことだと思うんです。そういう仲間がいないと寂しいし、一人ではがんばれませんよね。そういう一緒に漫画を描く仲間は大事だよ、ということは伝えておきたいですね。

小川先生色紙


ミウラメモ
 漫画が好きな人と漫画の話をするのって本当に楽しいですよね。「好きこそものの上手なれ」ではないですが、それが好きであること以上の原動力というのは無いと思います。
小川先生の話を聞きながら、漫画というメディアがどんなに面白いのかということを改めて認識しました。


アイコンコダマメモ
 小川先生の有名になってからの目的とはなんなのか、大変興味があります。そして、終わってほしくないですが『ぼっち侵略』の結末は一体どうなるのでしょうか……?!先生の今後のご活躍がとても楽しみでワクワクします!2014年8月12日に『ひとりぼっちの地球侵略』最新6巻が発売です!


文責:ミウラ(@1plus1_mh)、コダマヒカル