プロットから清書までの漫画制作の流れをおしえてください。また、コミカライズの場合、オリジナルの流れと異なることはありますか?

大岩原作に合わせてプロットを作る以外は、オリジナルの流れと同じですね。まず、キャラクターや舞台の設定のプロットを作り、ストーリーを紙1枚でまとめて、ネームを仕上げます。次に、下書きを消す時間が惜しいので透かして清書します。

下書き無しだと不安になりませんか?

大岩漫画家にとって一番のネックは時間なんです。長い時間をかけて良い漫画を仕上げても、連載漫画家としてはやっていけないですよね。清書でミスするよりも、原稿を落とす方を避けたいので、自分を信じて直接の下書きなしで清書しています。その後、スキャンしたデータを在宅アシスタントさんに送って、トーンを貼ってもらいます。以前、メールで簡潔に用件を伝えていたらおっかない感じになってしまったので、今はスカイプでやり取りしています……(笑)。

ペンは何を使っていますか?

大岩いろんな漫画を描きたいという理由もあるけど、デザインを習っていたからか、それぞれの漫画の雰囲気に合わせてペンを変えています。『アサシン クリード4』は筆、『GOTH』はGペン、『エレGY』と『つらみ相互感系』はボールペンを使いました。ちなみに、『夢渡りプルチネッラ』では真相心理をファンタジック描くため、絵本や夢の怖さを出すために、定規で書いた直線の下書きの上からフリーハンドで歪んだ枠線を描いていました。

女の子をかわいく描くために参考にしたことはありますか?

大岩全員にかわいいと思われる子は個性がなくなるから難しいんですよね……。そのギリギリラインとなると、自分の好きな顔をベースに、流行している顔パーツを加える感じかな……。流行をよみながら変えていかないといけないと思いますね。流行を知るためにアニメイトでアルバイトしたこともあります(笑)。

どの点に気をつけてコミカライズの原作を読み込みますか?

大岩原作よりも作者の感情を読むようにしています。『GOTH』の原作者の乙一さんとは、連載する際に、くだらない話ばかりしましたが(笑)、会食をさせていただいたこともあり、人となりを見て、どんな思いで書いたのかを聞いて、読み手が受け取ってほしい感情を素直に書いている部分に絵を描けばいいのだと気づきましたね。『NHKにようこそ!』の滝本竜彦さんは、自分がどう生きたいかを真摯に向き合う素直な哲学者だと、本人や作品から思いました。『NHKにようこそ!』は自分の体験や性格を参考に描けましたね。編集さんに「主人公に似ているね」って言われたなあ。コミカライズの仕事は、自分では考えつかないような作品に触れることができて、それを漫画に変換するお手伝いができて本当に楽しいです!

大岩ケンヂ、大岩ケンジ、と名前を変えている理由をおしえてください。

大岩「大槻ケンヂ」さんと字面が似ていれば間違って買ってくれるのでは……と編集さんと決めて「大岩ケンヂ」で活動していましたが、お会いした際にとてもいい方だったので罪悪感を感じて「大岩ケンジ」と変えました。コミカライズの際はどちらの名前にするかおまかせしています。

漫画のこだわりは?

大岩読者の身近にいるような等身大のキャラクターを描くために、表情や行動に共感できるよう掘り下げて芝居させてあげることでしょうか。
あと、しばりをとっぱらうことですかね。例えば、シリアスな漫画でもギャグっぽい表情にして抜けをつけるとか。自分の漫画は最高の暇つぶしでありたいから、重くなりすぎないようにしています。

いい漫画ができたと思う瞬間はいつですか?

大岩描いている時も読んでいる時もキャラクターが漫画にカッチリはまっている感覚がある時は、いい漫画ができたなと思いますね。

今後の目標をおしえてください。

大岩コミカライズの仕事が体現している通り、自分一人ではなくて、人との繋がりで仕事ができていること、社会で生きていることに気づいたんです。それなら、批判されても考えを持って、ぶつかっていって、自分を出していこう!と思うようになりました。そして、漫画を描くことではなく、漫画家の仕事が好きになり、死ぬまで漫画を描き続けたいなと思うようになったんですね。でも、飽きられては描いていけないので、いろんな漫画を描いていきたい。そのために、いろんな人に会いたい、いろんなこと知りたい、いろんな考え方に触れて、面白い漫画を描きたいです。最終的には、それらを身につけて素敵な人間になりたいですね(笑)。

最後に、漫画家を目指している人たちにメッセージをお願いします。

大岩今すぐに目指すことをやめましょう!漫画が好きだからといって描き続けても、本当に好きなのかわからなくなってしまうような辛い世界です。こう言われて、じゃあやめようと思う人はやめたほうがいいですが、人生を棒に振ってでもなりたいなら、漫画家になりましょう!才能でも運でもなく、気持ちが重要ですよ。

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