何から何までが「異端」。作品作りの秘密を一問一答!

先生の作品を読んで、まずクセになるのはその秀逸な「台詞回し」にあると思います。

イコルスン言葉使いについては、名前を出すのもあれですけど雁須磨子先生からかなり影響を受けていると思います。先生の漫画の言葉使いはとにかく「リアル」に感じます。

妙に小難しい二字熟語などを多用したりするのも、独特のおかしさがあります。

イコルスン適当な会話をしているときに、一人がすごく難しい単語を使ってその言葉が内輪だけですごく流行るときとかってあるじゃないですか。「お前そのタイミングで『顕著』って使うか!」みたいな。

とにかく、リアルで起こってもおかしくないと思わせる言葉使いが素晴らしいです。実際の会話を参考にしたりはしますか?

イコルスン自分もそう思うんですけど、人から聞いた話や誰かとした馬鹿な会話って、そのときは「今のこんど漫画で使うわ!」と思うんですけど大体使えないですね。面白くても何故かそこから話が広がらない。

先ほどペンタブが見つかったので漫画を描き始めたと仰っていましたが、現在の作画環境はどうなっているのでしょうか?

イコルスン今は完全にペンタブレットです。ソフトはsaiです。それ以外使ったことがないので。フォトショップも一応持ってはいるんですが、使おうとしても途方に暮れるしかありません。
最初の頃は、自分のやりかたが悪かったのかもしれないのですが使っているパソコン側が対応してくれなくて、すっと引いても線が真っ直ぐにならなかったんです。pixivに投稿していた頃、それに『成程』の最初の方も実は同じ状態で描いていたのでめちゃくちゃシンドかったです。コマ線を引くだけで何十回も描き直していました。さすがに時間がかかりすぎるので、そのあとすぐに買い換えました。

トーンをまったく使わないことと非常に描き込まれた画面からは、デジタル作画の無機質さをまったく感じさせないのですが……

イコルスンフリーペーパーで描いていた漫画はアナログだったんですけど、サイズが小さいしそんなに意識も高く無かったので、トーンも当然使いませんでした。そのやり方のままpixivに投稿していたので、トーンを使おうとも思わなかったんです。なので、今トーンを使えと言われてもやり方がわからない。 描き込みを多くせずにはいられないというのは、こんなこというのもあれですけど自分の画力に自信がないので見栄を切る意味もおそらくあります。

先生の作品の中の特徴的なことの一つとして、手書きで描かれた台詞が挙げられます。どういった経緯であのような形になったのでしょう?

イコルスンそれまで写植やフォントも使ったことがなかったので、載るにあたってどうするか決めることになったとき、編集長の決断で手書きにしてくれと頼まれました。自分としてはいびつな字だと思っているので、とにかく読めるようにという必死さしかないですね。本当は演出まで持っていきたいのですが。

もう一つ、異様に細かいコマ割も特徴として挙げたいのですが。

イコルスン正直ページ数との問題ですね。4ページで描き切るにはとにかく細かく割るしかない。自分は大きなコマもほとんど描いたことがないですしね。

4Pのショートショートというのは最初から決まっていたのでしょうか?

イコルスン合同誌に描いていたのが4ページだったので、同じ4ページでとりあえずやってみようという話だったと思います。

それでは次に、ネームの切り方を教えてください。

イコルスン最初は全部文章で、ほとんど台詞しか書き出しません。それをネーム兼ラフにして、どういう画作りにするかを決めていくのが作業行程の中で1番楽しいです。

話のアイディアはどんな感じで思いつかれるのでしょうか。

イコルスン冒頭の状況が思いついて、そこから引き伸ばしていくことが多いような気がします。最初の場面を掴んだらあとはそうなったらこうなる、みたいな感じで残りはズルズルズルッと頭から出てくるので、悩んでいるときはどれを引っこ抜くのかで悩んでいることが多いです。

作中に登場するキャラクターはほとんどが女の子ですが、一般的な「萌え」とはかけ離れています。特に、「肘汚い女子」などは『成程』を紹介するときには必ず触れなければいけないキャラかと(笑)

イコルスン肘が汚い女の子はずっと描きたかったんです。本当は小説で描こうと思っていました。なかなか出す機会がなかったので、漫画を描かないかとなったときに「これはチャンスやな」と思って描かせて頂きました。

ちなみに、実体験だったのでしょうか?

イコルスン否定はしないです。あんまり言いすぎると私生活に影響を及ぼすので……

 

それでは最後に、漫画家を目指す学生の方へのメッセージと、今後の目標を教えて頂きたいのですが。

イコルスン正直、自分の場合初めから漫画家を目指して漫画家になった訳ではないので、漫画家を目指している学生の人に言えることはほとんどありません。どっちかというと引け目しか感じていないですね。自分の場合は極端に運が良かった例だと思うので。
それを踏まえたうえで、ものを作る上で1番大事なのは「目」だと思います。ものを見る目、何を見ようとするかはすごく大きい。それだけですね。自分は小説などからたくさん「見る目」を与えられてきた側なんで、ゆくゆくは人に与えられるような人間になれればな、と思います。

綺麗に二つをまとめて頂きありがとうございます!もう一つだけ、蛇足的な質問を。独特なペンネームの由来はなんですか?

イコルスン小説やっているときは、本名をもじった「平方二寸」ってペンネームだったんです。それを友達に見せたら「二」が記号の「=」にみえたらしく、「いいペンネームやな。平方=寸(イコールスン)か」と。文章以外でやるときにはこれを使おうと思っていたら、なぜかこっちの方が先に世に出てしまいましたね。

最後に一つの謎が解けました(笑) 本日は本当にありがとうございました!

icorusun


せんちゃん(眉ほそ)あたたメモ
自然主義にフリーペーパー、そして何より観察する「目」。イコルスン先生の作品を読み解くキーワードが散りばめられていたと思います。しかし取材中も飄々と受け答えていく姿から、まだまだ先生の心の中の一端にしか触れられていないと感じました。残りは作品から読み解いていてください(笑)


 

文責:あたた(@atatakeuchi)

取材協力:石川詩悠(@shooish21)


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