「やってみます!」の精神で受けた「百合」と「4コマ」

百合や4コマもそうですが、先生はとにかく色んなジャンルに挑戦されていますよね。

フーカ『チュニクチュニカ』が絶版になって以降、次の仕事まで間がかなり空いたんです。その頃には割と年齢も上がってきまして、とにかく働かなきゃいけないというか(笑)、「来た仕事はなんでもやります!」という気持ちになっていったんです。今でも自分のスタンスは、「やってください」と言われたら「やってみたことはなくても、とりあえずやってみます!」なんです(笑)  ダメなら切ってください、みたいな感じで受けた依頼の一つが「百合」なんです。

百合ジャンルは相当癖があるように思えますが、最初お話を受けたときはどう思いましたか?

フーカそもそも「恋愛もの」をあんまり描いたことがなかったんです。最初原稿が載ったときは、「これ百合ファンの方に殴られるんじゃないか、殺されるんじゃないか」と不安でした(笑)
そこで、恥ずかしい話なんですけど「好きってなんだろう、恋愛ってなんだろう」というところまで立ち返って考えたり、いろんな人に話を聞きました。「どうしたの急に!?何に悩んでいるの」と驚かれましたが(笑) それで出た結論として、世間的には認められていないというような面もありますけど、相手がたまたま同性であっただけで本人的には「好き」っていう気持ちは異性に向けるそれとあんまり変わらないんじゃないかと思ったんです。

作品として描くのは、男女ものも同性ものもそんなに変わらないと思われたのでしょうか。

フーカとはいえ、自分が作品として描くからには「女の子同士」じゃないと描けないものを描きたいとも思ったんです。たとえばBL作品を読んでいても、男の子なのにすっごく可愛らしい感じで「女の子に入れ替えても全然違和感ないじゃん、男にする必要ないじゃん」と思うことってないですか?もちろん、そういう作品が好きな方もいらっしゃるので、私個人としてはああだこうだと言えないんですけど。
ただ作者としてやるからには、「女の子同士だからのトリック」が使いたいんです。1番最初の作品では「靴」をアイテムとして使ったんですけど、靴って男女だったら絶対履き間違いは起こらないじゃないですか。女の子同士だから始まった話としての理由が欲しかったんです。読んでいて論理的にも矛盾がないこと、「これ女の子同士になるのは仕方ないわ」っていうぐらいじゃないとなにより自分が納得できないので、そこを目指して作品を提供していきたいと思っています。

『ロンリーウルフ・ロンリーシープ』などはタイトルそのものが伏線になっていますが、百合作品に限らず先生の作品では「どんでん返し」が多用されているように思われます。

フーカ自分は、「どんでん返し」って最高のエンターテインメントだと思っています!ですので、ミスリードを入れるのが大好きなんです。「こっちだと思うやろ~?ちゃうねんこっちやねん!」というのがとにかくやってみたくて。そのひっくり返しが最後の数ページだったりしたときは、その「ちゃうねん」のためだけに描いている感じです(笑)
読者から「やられた!」と言われるのが作者として1番嬉しいですね。もう一度最初から読み返したくなったり、もう一回読んだときに違う印象を持って読める作品が、自分で読むのも好きです。

百合作品とほぼ同じ時期に、現在も連載中の4コマ作品『うのはな3姉妹』を始められています。「4コマ作品は難しい」とおっしゃる先生も多いのですが、先生はいかがでしょう?

フーカ自分もストーリー作品を考えるほうが楽ですね。4コマ作品は毎月15本の4コマを考えないといけないんですけど、その全てにオチをつけないといけないというのがもう大変。ストーリーは1本起承転結を考えればいいんですけど、4コマは毎月15本!今はだいぶ慣れてきたんですけど最初は本当に大変で、15本考えるのに2ヶ月かかったこともありました……

4コマ作品のお話はどのように作っているのでしょう?

フーカ15本で一応一つのお話にしないといけないので、誰をメインにするのか、どういうラストにするのかという大体の流れをまず考えます。次に「これだけは描かないといけない」というターニングポイントになりそうな4コマを先にパパっと出しておいて、そのあと間を埋めるネタを順番に考えていきます。15本をオーバーしてしまったり、逆に足りなかったりすることもあるので、調整するのが結構難しいです。

当初の絵柄はストーリー漫画と変わらない感じでしたが、だんだんとデフォルメ度が増していったように思われます。やはり、4コマに合わせた絵柄に変化していったのでしょうか?

フーカストーリーだと6等身ぐらいで描いているんですけど、4コマだと5等身ぐらいですよね。4コマでストーリー漫画みたいな絵柄で描いてしまうと、顔がコマの中で米粒みたいになって、表情が描けなくなってしまうので困るんです。なので顔は気持ち大きめにして、デフォルメも強めでどんな表情しているのか分かるようにした感じはありますね。
一度、すべてのキャラをストーリー用の絵で描きだしたことがあるんですけど、みんな全然顔が違ってびっくりしました(笑) みんな、気づかない内にデフォルメしていたんだな~と。

特に3姉妹のお父さんは回を追うごとにデフォルメ度が……

フーカすごいですよねー、段々描きやすくなっていってます(笑) 父ちゃんは、単行本の最後にある描き下ろしのストーリーを描くときに困るんですよ。普段の絵柄だとシリアスにならなくて(笑) ちゃんと泣ける感じのエピソードにするにはデフォルメで描いてはいかん!と思いつつ、ちゃんと描いても父ちゃんだとわかるよう描くのに毎回苦労しています(笑)