029_15宮城直美_静寂~shijima~

作者: 宮城直美

タイトル:静寂~shijima~

タカヤマ「可愛い!」

瀬口「なんかほのぼのとしてますよね」

タカヤマ「決戦前夜で一生懸命描いたのはわかるんですけど、なんか可愛いんですよね、そう感じちゃうな。後ろの緑色のわんちゃんといい、頭身の具合といい、顔の描き方といいなんか可愛いんですよ。ケモノが好きなんだろうな、というのは伝わってきます」

由利「けどこの手前の狼みたいなのはしっかり描けてますよ。ケモノ好きに人に受ける感じですね。毛の雰囲気とかもいいじゃないですか」

タカヤマ「これも技術は足りないんだけど、持てる技術を最大限しっかり使っていこうという誠実さがあって、そこは凄く良いですよね」

由利「この雲とかも中華風の雲で良いじゃないですか」

タカヤマ「手前の鎧の描き込みとかに全てを捧げた感じはありますよね」

瀬口「でも視線はちゃんとそこにいきますよね」

由利「やっぱり技術不足なんですかね、どうしても。描きたいものもしっかりしてるし、何より見やすいですよね。今までの絵って、上手くても見難い絵が多かったんですよ。やっぱりイラストって見せてナンボだから、見る人のこと考えたら見やすくなるはずなんですけどね。よっぽど描いてる時に夢中になって、見る人のことを考えられてないってなる以外は。これぐらい見やすくて全然いいと思いますよ俺は」

タカヤマ「この中華鎧の描き方も整合性が取れてるんですよね。中華鎧の描き方って結構わけ分からなくなったりするんですけど、一応基本に則って構成されてて、悪くないなと」

由利「あとは全身の明度が同じなので、やっぱり足元とかは暗くしてあげると良かったですね。これはむしろ見辛くていいところまでバッチリ見えちゃってるから、それが逆におかしいのかな」

タカヤマ「絵をしっかり学んでいって、背景は彩度を落とすとか、そういう基本的なこととか学んでいけばもっと上手くなるんじゃないかな。それでも、単純に今持ってる技術を全て注ぎ込んだってところに好感が持てますね」

瀬口「漫画家の立場からすると、やっぱり横向きなのが気になるんですよ。なんで正面からいかないのかねっていう」

タカヤマ「犬系のやつって鼻っ面が長いじゃないですか、正面が格好良くないんですよ」

瀬口「あー、そうなんですか」

タカヤマ「体が正面を向いていて、顔が横っていうのは難しくなるのでね。漫画家さんは初めからポーズとかアングルとかを気を使って描くじゃないですか。こういう人は、好きなものを一生懸命描くってだけなんですよ。だから構図とかがあんまり意識したことがないんじゃないかな。色んなカット描くことがないので。俺は全体的な点数はあまり高くないけど嫌いじゃないって感じですね」

由利「そりゃあ怪しいところもいっぱいありますけど、俺は及第点って感じかな。着色だけやっぱり、赤い場所は赤! 緑の場所は緑! みたいなのがいけないですかね。でもやっぱり分かりやすいのはいいと思いますよ。イラストなんでやっぱりパッと見が重要ですよ」

タカヤマ「やっぱりなんで横顔なんだよ、と思いますか?」

瀬口「結構漫画家志望の子でも多いんですよ、イラストで横顔を描くの」

タカヤマ「それとか正面しか描けなかったり、バストアップばっかりとか?」

由利「そういや漫画の表紙で横向いてるのってあんまりないですよね」

瀬口「やっぱり意図がないと、編集さんにも嫌がられますよ。目線はちゃんとくれっていう」

タカヤマ「奥行きとか前後左右の空間を意識した絵っていうのは、絵を描くのが好きなだけの人には最初は描けませんよ。漫画とかアニメとかがよっぽど好きじゃない限り、イラストが入り口だとなかなかそこに意識が行かないんですよね、自分はそうでした」


028_14丸山恭右_幕開け

作者: 丸山恭右

タイトル:幕開け

タカヤマ「一生懸命描いたんだろうなっていうのが第一にくるかな。下にサインもあるし。でも何の幕開けかちょっとわからないかな。戦いが始まるわりには、結構みんなのんびりしてるじゃないですか。向こうの巨人みたいのが敵だとすると、かなり絶望的な状況なのに」

由利「それか風景画じゃなくて、イメージ画みたいなものなのかも」

タカヤマ「それぞれの要素がリンクしてないのかな?」

瀬口「映画のポスター的なものかもしれないですよ」

由利「そのわりには繫がってしまっているからね、難しいな。モンスターとか単体で描くような仕事なら全然やれそうですけどね」

タカヤマ「構成物が多いのも相まってわかりづらくなってしまっていますね」

由利「一個一個取り出していけば、人間がそんなに描けてないわけでもないし、モンスターもデザインがあんまりキャッチーじゃないですけど、モンスターが描けないかと言われれば、描けると思うんですよ。単体としてキャラ絵、モンスター絵ぐらいだったら全然描けると思うんですよね。このイラストがいまいちというか、わかりにくくさせてるのかな」

タカヤマ「どこに視点を持っていって良いのかがわからないんですよね。背景の町並みにもばっちりライトが当たっちゃってるし、右上のモンスターも描き込んであってそこにも目がいっちゃうし。手前を見れば人がいっぱいいるしで。どこをどう繋げてどう見せたいのかっていうのが、ちょっとよく分からないな、と思いますね。この下にあるのは港かな?」

瀬口「遠いんですかね?」

タカヤマ「遠いわりには、町はでっかく描いてあるんですよね」

由利「そうなんですよ、だから違うものが繋がって一枚の絵になっているのかな、と」

由利「イメージ画なのかな」

瀬口「そんな感じですよね。手前の建物は和風ですし、奥は西洋風だしで。キャラの服装もそれぞれで違ってますしね」

タカヤマ「手前の人たちも何をやってるのかわからないですよね。全体的にバラバラに見えてしまうかな」

由利「解釈しようとすれば色々出来るんでしょうけどね」

タカヤマ「幕開けって意味はあまり伝わってこないと思います」

由利「全体の技術的には悪くはないと思うんですけどね。俺みたいに、わかりにくいのが逆に想像力を掻き立てるって人もいますけど。それにしてももう少し全体の統一感が欲しかったかな」


027_13角田真奈美_禊の儀式

作者:角田真奈美

タイトル:禊の儀式

タカヤマ「女の子が可愛ければもっと良かったかな」

由利「技術的に足りない部分があるっていうのと、全体的な完成度があまり高くないですね。葉の連なりとか、水の連なりとかもっとこだわれたと思いますよ」

瀬口「水の表現とか、後ろの木の表現とか、これって結構ありがちですか?」

由利「いや、どうだろう。でも、こういうのやろうと思うと、やっぱり圧倒的な完成度が必要になるでしょうね」

瀬口「これで固まっちゃうと伸びしろがあんまりないのかな」

タカヤマ「そうですね」

由利「あとはこういう絵のわりに、女の子がアップ過ぎる。もっと背景見せた方が良いですね」

タカヤマ「この表現方法に魅力を感じる人はこれでいいと思うだろうけど。それ以外の人はあんまり見てくれないかも。あと、変にぼやかしが入ってるじゃないですか。そういうのがなくても色彩やコントラスト、構図で完成度を高めるほうが、いいんじゃないかな。画面に変化を持たせるためにぼやかせたりしてると思うんですけど」

由利「奥行き感出すために手前にちょっとずらしたりとかですね」

タカヤマ「そういうのがない方が、この方向性でいくなら完成度は上がるんじゃないかな」

由利「特殊な絵柄で勝負しようとなると、本当にセンスとか完成度とかの問題になるんですよね。リアルな絵ってわりとリアルっぽいだけで騙されたりとかしますから」

タカヤマ「そういう人なら結構柔軟に絵柄を変えられるんじゃないですか、漫画絵とかもそうですけど。この絵柄だとこれで固定されてファンがつくとこれ以外ないって感じになってしまうので。良いとか悪いとかではなくてね」

由利「武器にするとなると、こういう絵が嫌いな人にも「お、すごい」と思わせるような完成度がないと難しいと思います。今だと構図もあまり良くないので。こういうタイプの絵はあんまり人間で見せない方が良いですよ。背景とかで見せたほうが良いですね」


026_9横井聡真_GAME

作者:横井聡真

タイトル:GAME

タカヤマ「これも……」

由利「描きかけだと思ってしまいますね」

タカヤマ「しっかり終わらせて欲しいですね。色々と多分設定はあるんでしょうけど、その設定が見えてこないです」

由利「わざわざモノクロの中で赤を入れるっていう効果があるじゃないですか。だけど、それも特に効果的というわけではないですね」

タカヤマ「構図だけで言えばこれも記念写真のようになってしまっている」

由利「よくあるこの三角形にするっていう教本通りになっちゃってるかな」

タカヤマ「ちょっとパースかけるだけでも違うと思うんですよ。斜め下から見るとか、影だけでもはっきりと付けるとか」

由利「お手本通りという感じですね」

タカヤマ「お手本通りかな? 今はこんなに真正面からってあまりないんじゃないですか?」

由利「でも大学生とかでちょっと美術的なことかじると、三角形にしなさいよみたいなのは必ず書いてあって、まずそこからスタートしてる感じなんじゃないですかね」

タカヤマ「手前のこの銃弾の痕みたいなのはなんでしょう? FPS的な表現なのかな、ダメージ表現」

瀬口「手前にいた奴がやられたんじゃないですか」

由利「もうちょっと派手にしても良かったですね。これも狙った効果があまり出てない」

瀬口「モノクロでやるならもっと質感の表現にこだわるべきですね。そうしたら、もっと良くなるんじゃないでしょうか」


025_42土居千明_marshalling

作者:土居千明

タイトル:marshalling

由利「すごい分かりやすいですね」

タカヤマ「マクロス的な感じなんでしょうか」

由利「なにかすごく懐かしいSF感。でも、構図はあんまりかな」

タカヤマ「こういうような宇宙戦争を描くとなると、着ている服のディティールとかが肝じゃないですか。そこで宇宙戦争らしさを演出したりとか、未来感を出したりとかして、おっ! てなるんですけど、この絵は格好が普通なんですよね、そこが残念です」

瀬口「うん」

タカヤマ「宇宙服もNASAの普通の乗組員が着ているような服だし、パイロットも普通のパイロットが着ているような服だし、飛行機も今までにあったようなものなので。やりたいことはわかるんですけど、パッと見で、おっ! と思わせる要素が少ないんですよ。その辺がもっとこだわれた部分かな。全体として、もっとアニメっぽくてもいいぐらいの雰囲気だと思いますよ。もっと新しいものを提供しようという、俺の考えた最強宇宙戦闘機!みたいなオリジナリティが欲しかったですね」

瀬口「そうですね」

タカヤマ「肝はメカだと思うのですが、描く前に練りこみが欲しかったです」

瀬口「戦闘機の飛び立ち方も工夫が欲しかったですね」

タカヤマ「こうやって飛んでもいいんだけど、砂地では基地の感じもしないし、そんなふうに飛び立つんだったら、手前の人の必要性って何かなとか。そういう細かな積み重ねが重要になるのが、SFってジャンルなので。描く前に、やっぱり宇宙だったらどういう格好をするだろうとか、宇宙で戦う戦闘機ってどんなんだろうとか妄想全開で考える必要があるんと思うんです」

由利「そうなんですよね、やっぱりそこを考えた感じが足りないから、新鮮味もない」

タカヤマ「そういうのがマイナスポイントになっちゃうんですよね。一生懸命描いてるのはよく分かります。でもそれだけじゃ、つまらなくなってしまうんですよね。それだったら実在する戦闘機の写真を一生懸命描画したほうが、格好良い絵になると思います」

瀬口「真面目な人のイメージがあります。もうちょっと今時のミーハーなアニメとか見たほうが良いですね」

タカヤマ「あとは、昔の大先生であるカトウナオユキ先生のSFの具合とか参考にしてみる。宇宙を描くんだったら大気がないわけだから、もっとライティングが大胆になったりすると思うんですよね。その宇宙の描き方一つをとっても、どれぐらいの重力で、どんな大気で、どんなふうにその惑星から宇宙が見えるんだろうとか、そういった細かな所を詰めていったりすると良い。そこが足りないんですよ。構図とかは僕はそんなに悪くはないと思うんですけど」

由利「逆にそれなりの技術はあるわけですから、若干SFだから損しているところもあると思うんですよね」

瀬口「あー、そうですね。むしろちゃんと有り物にしてしまったほうが得意だったかもしれないですね」

タカヤマ「そうかもしれません。普通に空母から飛び立つ戦闘機とか描くだけでも格好良い絵にはなりますよ。結局はオリジナリティをもっと出して欲しかったってところに尽きますね」

由利「メカとかSFが好きなんだったら、もうちょっとオリジナルのメカっぽさを出して欲しかったですね。惜しいです」


024_12河野晟也_興味本位

作者:河野晟也

タイトル:興味本位

タカヤマ「パッとみてどのようなシチュエーションかわかり辛いという印象です」

由利「分からないですね」

タカヤマ「興味本位というタイトルですが、彼女がどのようなキャラクターで何に興味があるのか、なぜこの場所に居るのかというのを感じてしまいます」

由利「狭い路地裏みたいなところがあって、表は普通に光のある通路で、普段とは違う暗い路地に足を踏み入れてみたという興味本位?」

タカヤマ「今回の決戦というテーマとしてもちょっとわかりづらいですね」

由利「若干ドアがあったりするのがそういう予兆感を出そうとしているんじゃないでしょうか」

タカヤマ「新しい世界に飛びこむといった感じの決戦ですか」

由利「若干ホラーっぽいシチュエーションをイメージしてるんじゃないでしょうか。路地裏みたいなところに入ってドアが開いていて、そこから何か飛び出してきそうな感じっていう。興味本位でそういうところに踏み込んでしまって、何かトラブルが起きる直前ってイメージじゃないですか? まあそれでも、楽器はなぜっていうのがありますけど」

タカヤマ「細かなところですが女の人もなんで素足なんだろうと、パッと見で分かる説明力みたいなものもイラストには必要だと思いますよ」

由利「その辺の暗がりの一番右上のところで、モンスターとかが這ってたらまた別なんですけどね」

タカヤマ「構図とか暗がりの作り方とかドアに不安を感じるんだけど、その理由があまり伝わってこないのが残念ですね」

瀬口「でもドアの向こうに何かありますね」

由利「本棚かな」

タカヤマ「本棚だけだとなんで本棚なんだろうって、疑問だけが残ってしまって、コンセプトやそういう構図にした回答が見えないんですよね。アイキャッチも悪いですし」

由利「天照大御神かな」

タカヤマ「天の岩戸的な? 楽器もありますし」

瀬口「ここから出てきたんですかね。それで楽器とかがあるのかな」

由利「でも別に決戦前夜ではないですよね。着色を見れば普通なんですけどね。それなりに深みのある感じに描かれてて」

タカヤマ「オーバーレイ使っているのかな? 上の光から下の陰に色が薄くなっていくところの、グレーと黄色の境目がきれいだなと思います」

由利「総合的に見れば全然悪くないんですけど、テーマ性が不十分でしたね」


 

023_10加々見真衣_秘策

作者:加々見真衣

タイトル:秘策

瀬口「技術的には怪しいところが満載なんですけどね。僕はこの絵からすごい描き手の気持ち伝わってくるし、やりたいこともはっきりわかるし、単純に技術が上がれば上手くなっていくと思います。このまま頑張ってほしいなって感じですね」

タカヤマ「やりたいことはわかっているなら、あとはもう資料を見たりとか、自分の描画のもう少しこうしたいとか、ああしたいとかを繰り返して詰めていけばきっと上手くなるでしょうね。色も綺麗ですしね。彩度をそんなに高くしないで、明るさとか、ふわっとしたライティングも表現できていると思うので」

由利「あとは、カメラありきのポーズっていうのが良くないかなと思います。絵を見る人ががもうこっちから見てますよっていうのがありきのポーズじゃないですか。がっちり固まってる感じが出てしまっているんですよ。みんなでワイワイやっていて、何か秘策っていうタイトルだから秘策を練ってるわけですけど、カメラありきじゃなくてカメラの前に何かかぶっていたりとか、リアリティのある構図のほうが良いかなと思います」

タカヤマ「絵柄は漫画ファンタジーっぽい感じの絵柄ですから、集合絵って感じでわかりやすく良いと思います。是非このまま頑張ってください。ちゃんと上手くなっていけば、仕事としての落ち着きどころが見える感じの絵だと思うので」

由利「真ん中にランタンを持ってきているのも上手いですし」

タカヤマ「光の感じが柔らかくていいですよ。どのキャラクターもちゃんと描こうとしていていいですしね。ちょっと髭の人は怪しいですけど、ちゃんと全年代を描こうとしているのがいいですね。なにより絵にまとまりを感じますし。こういう風にやりたいっていうのと、そこに対して不安がない。破綻している感じもなく、今は単純に技術不足っていうところを感じるだけなので、これからが楽しみですね」


022_8奥富祐人_ビルマーグの行軍
作者:奥富祐人

タイトル:ビルマーグの行軍

タカヤマ「良いと思います、持ってる能力を一生懸命注ぎ込みましたって感じですよ」

由利「でも、メリハリがないと感じますね」

タカヤマ「確かにふわっとしてますね」

由利「これもやっぱり普通の人の途中の絵って感じですね。この人にとってはすべてなんでしょうけど。だから手抜き感はないですよ」

タカヤマ「木とかを筆細かく動かしてやってるんでしょうね」

由利「後ろのそのアーチがエッシャー感を醸し出してる感じしませんか?」

瀬口「どっからどこに着地してるっていうのは疑問に感じますね」

タカヤマ「手前の丘みたいなものが暗くて、向こう側のアーチのところが明るくなってるんで、おやっという風にはなりますね」

由利「構図はとしては全然悪くないんですけどね」

タカヤマ「全体的な画面のメリハリ感がないのは難点ですけど、巨大な竜に乗って騎士が行軍しているっていうのは分かりやすいですよ」

由利「その手前に人の描き込みがありますし、奥側にもあるから対比感もあるし、もう少しメリハリのある影とかがついていればもっと良くなったかな」

瀬口「そうですね。絵としては面白いので、やっぱり塗りが課題ですかね」

タカヤマ「多分一生懸命描いたので、これ以上描くところがわからないと思うんです。それは、デッサン力とか、知識量とかなので、このまま一生懸命いろんな資料読んだりとか、実際それを見ながら描いたりとかトライアンドエラーを繰り返していけば、もっと格好良い絵を描けるようになると思いますね。ドラゴンのこの胸回り首回り、人の姿とか。あとは旗のはためき方とか手前の木の描写とかも、木の資料あんまりちゃんと見ないで描いてるかなって感じはしますので。その辺がなんでそんな風になってしまっているかという理由を、ちゃんと理解してその辺にも手を抜かずに描く必要があるってことを理解できれば、どんどん上手くなると思います」


021_5永瀬大介_レジスタンス
作者:永瀬大介

タイトル:レジスタンス

タカヤマ「テクスチャを結構使ってますね」

由利「テクスチャとして使うのはいいんですけど、相当の実力がないとダメですよ」

タカヤマ「要は壁紙を張るのとはわけが違うというわけですか。この絵なんかだと弾自体ですものね」

由利「わけが違いますし、その模様感を出すためのものではないんですよ、弾そのものなので。ただ映画のコンセプトアートとかそういうので使う人もいるんで、場所やクライアントによっては別に使っても良いとは思いますけどね。さて、これも題材がメカなわけですけど」

タカヤマ「面倒くさいところをごまかしちゃってる感がありますよね。やっぱり面倒な弾を描くところでもちゃんと描画してあげるとかが重要ですよ。下に弾がぐわーってなっているのが格好良いわけじゃないですか。薬莢がいっぱい転がってるとかが重要なわけですけど、それが他の絵にあったみたいに、紙を一枚一枚描いて構成するのって面倒だけどあれをやることで画面が美しくまとまるわけですよね。この絵の弾も、ちゃんと方向とか重なり具合を考えて作ってあげることによって、格好良くなったりとかするんですけど」

由利「それだって別にコピペでできないわけではないですよね」

タカヤマ「あと、メカの関節部分とかも面倒臭いところを暗くしてごまかしちゃってるんじゃないかと自分は思っちゃうんですよね。それはダメだよねって単純に思っちゃうんですよ。面倒臭いところがあって、それをなんかごまかしたい気持ちはわかるんだけど、そういうのが格好良さになるわけじゃないですか。メカとかはどういう構造になってるとか、どのようなディティールになっているっていう部分が格好良さの一番重要なところなんですよ。それを、面倒だからで済ましちゃうっていうのは、何も良いことがないですね」

由利「強い雨のあたり具合とか、センスはいいと思いますけどね」

タカヤマ「。ここで雨がキラキラしてるっていうのも悪くないんだけど」

由利「雨降らそうっていう発想まで意外といかないじゃないですか」

タカヤマ「結構SF映画にありがちといったらありがちですけどね。雨の降っている暗い画面でぽちゃぽちゃなっていて、湿気があってっていう。多分そういう映画が好きなんじゃないんでしょうか。しかしそういう映画やゲームは必ずメカの駆動部やディティールをこれでもかと見せわすれど、暗くして見せない事は無いはずです、かっこよさのキモですから。だから面倒臭いところを逃げずに描きましょうっていうアドバイスですね。メカなんだから面倒臭いことをやってなんぼってところはありますから」

由利「面倒臭いことが好きじゃないとできない仕事ではありますよね。あんまり面倒だと思う人って少ないじゃないですか、ひたすら夢中で描く人が多いですよね。構図とかは悪くないので、あとはそういった部分を詰めていってほしいかな」

タカヤマ「それは全然悪くないですよ デッサンに関してはきちんと描いていないからわからないって感じは有りますが、全体的な画面の構成は良いと思います」


 

020_パクセジン_思い

作者:パクセジン

タイトル:思い

由利「これもね、一目だけだと分からないんですよ」

タカヤマ「あれは死んだお父さんじゃないですか?」

由利「いや、それはわかるんですけど、どういうシチュエーションなんだろう」

タカヤマ「だからもう必勝ですよ。大学受験でしょう、大学か高校受験」

由利「でしょう? でもそこで、死んだお父さんが出てくるほどの重みがあるのかなという疑問が出てくるんですよ。所詮大学受験だし、という気持ちにさせるんですよね。死んだお父さんが出てくるほどのこともないという感じが何かちぐはぐすぎるというのがありますよ。これが病院のベッドで、明日手術ですとかだったら分かるんですが」

タカヤマ「ていうことは、テーマの絞り方が、演出が良くないですね」

由利「うーん、なんか死んだお父さん大げさだなぁっていう感じがしちゃうんですよね」

タカヤマ「そう思いますね」

瀬口「俺も始めは手術かと思ったんですけど、後ろ見たら必勝って書いてありますから」

由利「そうそう。必勝とか合格って書いてある」

タカヤマ「結構イラストでこういったことはやらないほうがいいんじゃないのかなって思うのが、この必勝と合格なんですけども」

由利「そうですね」

タカヤマ「絵の補足説明を画面内の文字であからさまに説明できてしまうのは避ける方が良いですね」

由利「そうですね文字で説明してる感がそう思わせてしまう。たとえこれがテーマ的に合っていてもですね」

タカヤマ「構図で見える分にはいいと思うんですよ。机の上に書いてあるとか入ってあるとかだったらいいんですけど、真正面に入っちゃうとここ読んで分かってくださいって感じになっちゃうんで、それは良くないなと思います。あと舞台を見ているような構図なので、カーテン、クーラーや窓等部屋の説明として有るかんじですね」

由利「何のカーテンなのか分からないですね。これだったらいっそ、窓サッシとかをつけたら分かりやすいですよ」

タカヤマ「おそらく明日が大学受験じゃないですか。心配だってことでお母さんと妹がこのポーズという事なのだと思います」

由利「妙に悲壮感があるんですよね」

タカヤマ「いろんなところがちょっと不条理な感じがするんですよね。やっぱり描いた人は顔のあたりの雰囲気とか、すごく一生懸命に描いたのはよく分かるんですよ。誠実に描いてるのはよく分かるんだけども、もっとちゃんと整理して、こういうシチュエーションはおかしいかな、こういうシチュエーションはおかしくないかなというので構図を作っていかないと、良くないなと思いますね」

由利「技術的にはこれからどんどん伸びそうな感じはありますけどね」

タカヤマ「顔の部分の描き込みとかを見る限り女の子単体で描けば、可愛く描けるんじゃないかなと思いますよ」

由利「女の子もなんか緊張で眠れないとかではなく妙な悲壮感があるのが、少し浮いてしまっているかな」

タカヤマ「一生懸命描いてる感は、寝てる女の子の顔にはあります。構図は正直に悪いと思いますよ。ラフの段階でおかしいかなというのを人に見てもらったり、自分で何度も練り直したり考えるのが必要ですね」

由利「まあ描いているうちに心配になるのはわかりますよね。窓描いたほうがいいんじゃないかなとか」


019_48岑友理子_そして誰もいなくなった

作者:岑友理子

タイトル:そして誰もいなくなった

由利「純粋に技術力が足りないですね」

タカヤマ「血のように見える効果でしょうか、こうバッとなってるのが商業活動してる身からすると、良くない表現と思ってしまうかな」

瀬口「これは大人になっちゃうとかけないですね。というのは大人になるとどうしても“恥ずかしさ”や“照れ”というものが先行しちゃう んですど、この絵にはそれがない。もし本人がそこを意識的に開き直って描いているのであればそこは評価したいと思います。多分デッサン力的にも幼稚園児の絵って、大人になると描けないじゃないですか? これは悪口ではなくて、僕は幼稚園児の絵ってす ごくストレートで魅力的だと思ってるんですよ。でもみんな大人になるとそれが描けなくなる。この絵が手抜きの結果ならばそれは論外ですけど、 意図してこうなっているのであればそこは自信持って欲しい。ただ技術は全く足りていないので頑張らないといけないですけどね」


018_45矢森-有貴_スイコウ

作者:矢森有貴

タイトル:スイコウ

タカヤマ「スイコウって何ですか?」

瀬口「推敲はいろいろやって、ああでもないこうでもないってやることですね」

タカヤマ「それは絵でもですか? テキストだけですか?」

瀬口「絵でもですね、塗りを失敗したからとかじゃなくて、一番最初のラフの段階をやり直すみたいな」

タカヤマ「じゃあいいですね! でも、決戦前夜ではないのかなって感じです」

瀬口「投稿前とかなのでは?」

タカヤマ「なるほど、じゃあいいんじゃないでしょうか」

瀬口「面白いですね」

由利「女の子にあまり焦ってる感じがないけど、逆に表情を見せるタイプの絵じゃないっていうのもありますからね」

タカヤマ「多分脳のあーでもないこうでもないっていう思考の巡りを、この原稿のバーっていうので表現しているのかなっていうが想像できます。綺麗にまとまっていて良いと思います」

由利「舞ってる原稿用紙とかって結構コピペしちゃいがちなんですけど、綺麗に描いてるんですよ、それも相当こだわって。こだわってないとすると相当センスよくまとめられる力がある。全体的に捻って描いてていいと思います」

タカヤマ「絵としての完成度とそのテーマ性の選びかたとか構図とかはとっても良いと思います。良いと思うゆえに仕事としてどのような活躍の場があるかなと思います、がいらぬお世話かな今でこれだけ描けるのなら」

由利「どう仕事に結びつけるかが、なかなか難しいものなんですよね」