長らくお待たせして申し訳ございませんでした!
2013年夏に行われた、第一回クリエイターコンテストの全作品講評を公開致します!
テーマは「決戦前夜」
それでは、早速講評を御覧ください!

今回、審査員の先生方には以下のような視点で評価をしていただきました。

・ゲーム等のコンテンツで使われる商業用のイラストとしてどうか
・最後までしっかり描いているか
・どのようなシチュエーションか、どのようなキャラクターかが判り易いか
・構図、色彩、描画力等の総合力

以上のことを踏まえながら、当日行われた全講評をご覧下さい!


001_父と娘_ケントウエダ

作者:ケントウエダ

タイトル:父と娘

タカヤマトシアキ先生(以下タカヤマ)「よくまとまっていて良いと思います。ただ一枚絵として見せるならもう一工夫欲しいかなと思いますね」

由利真珠郎先生(以下由利)「結構、決戦前夜っていうものを素直に描いているじゃないですか。こういったコンテストであれば、もう少しテーマを捻った作品を送ってきたほうが、審査の時に目につきやすくなって良いと思いますね」

瀬口たかひろ先生(以下瀬口)「小説の挿絵とかだったら全然違和感ないんですけれど、やっぱり皆さんおっしゃっている通り一枚絵だともっとインパクトが欲しいなとは思います」

タカヤマ「今だと、どうしても家族写真みたいな感じになってしまってますから」

由利 「うんうん」

タカヤマ「綺麗にまとまっていて見やすくて良いと思うんですけども、もう少しドラマ性があればもっと良くなったと思います」

由利「絵として見た場合は及第点だと思います。けれどもあくまで賞ですから、人に勝たなきゃいけないというのを意識すると、これはちょっとスタンダードすぎるかなという感じはしましたね」

タカヤマ「画面も結構白っぽいので、ライティングとかでも一工夫あったほうが良いですね。画面の何を見せたいのかも伝わりやすくなりますし、華やかさとかも出てくると思います」

由利「絵としては本当にまとまりがいいと思いますよ。構図も悪いことはないですしバランスも良い。ちゃんと人物より近い位置のバラの植え込みのようなものも入っているので、これで奥行きを出そうという気持ちも出てるし良いと思いますよ」

瀬口「アングルとか、女の子の視線をカメラに見せるとかするだけでも、だいぶ変わってくると思うんですけど、何かしらその絵にダイナミズムを与える工夫が欲しいですね。今の状態だとちょっと挿絵っぽいかなと感じました。挿絵がダメってわけじゃないですけれど、やっぱり一枚絵として見ると物足りないかなという感じです。惜しいですね」


050_47里桃子_夏の空

作者:里桃子

タイトル:夏の空

タカヤマ「意図してるところがちゃんと表現できてると思います。全体をモノクロで描いて、空だけカラーで描いて、結構上手いですよね」

由利「右上だけ少し離れていたりとか、演出が上手ですね」

タカヤマ「ただ決戦というテーマだと、わかり難いかも。この絵が描きたかったという気持ちはすごく伝わってくるんですけど」

由利「なにかしらの美術コンテストの締め切り前なんでしょうね。右の方に少しポスターが見切れていますし」

タカヤマ「あ、本当だ」

由利「追い込みなんでしょうね」

タカヤマ「右下にも描いている空の写真があるから、それを描いていて、追い込みなのかな」

由利「なるほど」


041_26小松崎紫乃_ロ、ロマンチック

作者:小松崎紫乃

タイトル:ロ、ロマンチック

由利「一目見ただけじゃ分からないな」

タカヤマ「何がどうなってるかわかり辛いですね」

由利「ポイントになりそうな真ん中辺りのものは、動物なのかな?」

タカヤマ「木の根っ子なのか、モンスターなのかが分からないですね」

由利「四足の動物のようにも見えますけれど」

タカヤマ「いや、その下のやつです」

瀬口「これは木の根か、岩とかじゃないですか」

由利「決戦前夜というテーマも発見できないですね」

タカヤマ「なにかが爆発してるんですよね、あれは」

由利「あれだけ強い光が出てて色としては綺麗だと思いますが、イラストとしてはまだ体を成してないと感じてしまいますね」

タカヤマ「パッと見で何が描いてあるかわからないと今回は評価に繋がらないと思います」

由利「確かに、一目で分かりにくいとそれだけで不利ですから」

タカヤマ「構図としてはあの爆発に目は行きますが、それが何なのか、そこに注目させる理由も分からない。なのでそれが構図と言えるのかどうかも難しいです」

由利「配置も、並以上ではないですよね。何が描いてあるのかが分からないってのを差し引いても、特出して上手いとも言えないです」

タカヤマ「やっぱり、ここまで見ても絵として何を表現しているのかが分からないというのが、こちらも判断できないところですね」

由利「色彩は、私は結構好きですけどね」


048_39中澤美穂_!期末テスト前!

作者: 中澤美穂

タイトル:!期末テスト前!

タカヤマ「これもテスト系のやつですよね」

由利「三者三様というか。三人描いているのはいいですよね」

タカヤマ「シチュエーションは上手く描けてますよ。漫画描いたことあるとか、描きたいって感じが出てると思います」

瀬口「確かに」

タカヤマ「シチュエーションとか、部屋の様子とか、かなり上手く描けてると思いませんか?」

瀬口「そうですね」

タカヤマ「線画は上手いんだけど、色塗るのが苦手そうだな、というのは見て感じますね。でも、色彩のセンスとかは良いんじゃないでしょうか」

由利「色が綺麗ですよね」

タカヤマ「構図も上手いですよ。このお母さんが立ってる感じとか。それぞれの様子を比べるとかなり分かりやすいです。それでキャラ性もかなり出ていますし」

由利「最後の一人がちゃんとオチになっているというのも良いですね」

タカヤマ「部屋をこれぐらいちゃんと描くというのはかなり難しいと思います。だからこそ、上手いと感じるんですよね。デッサン力も結構高いと思います」

由利「だからといって、絵にスカスカな部分もあるわけじゃないのは、評価点ですね」

タカヤマ「だけど、ちょっと残念なのはフィニッシュワークが安定してないっていう部分です」

由利「イラストとしてはまだ厳しいけれど、漫画のスタイルとしてはいいんじゃないでじょうか。体もよく描けていますよ」


055_49福嶋みゆき_死に逝く者

作者:福嶋みゆき

タイトル:死に逝く者

タカヤマ「これが戦士なのか、戦争に行くのか、どういったシチュエーションなのかがちょっとわかり辛いですね」

由利「傷ついていたりしますし、戦士のような人なのかな」

タカヤマ「コンテストに出すのが初めてという感じがします」

由利「でも絵自体は描いているというのは分かりますよ」

タカヤマ「そうすると、やっぱりテーマの選び方や絞り方の点で差が出ているんでしょうね」

由利「テーマに関しては、もう、1日全く手を動かさずに、散歩でもしながらひたすら考える日をとってもいいと思いますね。構想練りながら1日散歩するみたいな」

瀬口「この絵は、誰しも1回は描いてしまう構図になってしまっているんですよ」

タカヤマ「確かに、顎引いてカメラ目線でっていうのは、良く見ますね」

由利「顔は上手に描けると思いますから、それを活かしつつインパクトのある絵にしていってほしいです」


054_34早崎七海_刃の向く先は

作者:早崎七海

タイトル:刃の向く先は

由利「表現したいことに対して、技術的に追いついていないのが見てわかります。ここからは練習次第ですよね。ここが誰しものスタート地点という感じでしょうか」

タカヤマ「はい、全然下手ではないです。今は知識と技術が追いついてないだけで、1年間真面目にやったら全く見違えるような絵を描くようになると思いますよ」

由利「大抵ここからが出発点ですから、頑張ってほしいですね」


052_29須藤裕美子_決戦前夜!?

作者:須藤裕美子

タイトル:決戦前夜!?

タカヤマ「絵の中の情報量が少ないですね」

由利「あんまり決戦前夜という感じはないですね。バレンタインとかでしょうか?」

タカヤマ「絵だけで見ていけば、女の子は普通に上手いと思います。ポーズも上手いし、表情も上手いし、いたずらしているドラゴンもよく描けているし、零れている液体もよく表現できています。いつも白黒でこういうキャラクターをたくさん描いていて、かなり慣れてるんだろうなと想像できますね。イラスト単体だけで見ると、画面の密度が低いかなと思います」

由利「ライティングも悪く無いですね。でも確かにイラストとしては情報量が少ないと感じます」

タカヤマ「デッサン力は今回のコンテストの中でも、トップレベルかも知れないですね」


051_28小野由貴_篝の火

作者:小野由貴

タイトル:篝の火

由利「この絵は、一目見ただけでは分かり難いんですよ」

タカヤマ「でも描いてあるものは格好良いですよね」

由利「そう、見にくいってだけなんですよね。やっぱり描いている内容はいいですよ、デザインもしっかりしていますし」

タカヤマ「格好良いですよね。惜しいのは、画面が暗すぎて何が描いてあるのか分からないということ。これはライティングの設計とかきちんと出来てれば、トップになり得る作品ですよ。後ろのドラゴンの描写も格好良いです。まとめ方が上手くなかったのかな」

由利「キャラ単体で、背景なしとかだったら今すぐにでも仕事になるレベルだと思いますよ」

タカヤマ「この絵だって少し上からオーバーレイを吹いたりすれば、すぐ綺麗になるでしょうからね。このレベルだったらすぐに仕事になると思います。画力で言えば、今までで言うと一番上手いかもしれない。後ろの騎士も、ちらっと見るだけで格好いいなと思いますし、しっかり描き込んでいるのが分かります。デッサン力は結構高いけれど、画面内の構成があまり良くないのが課題ですかね」

由利「今ソーシャルゲームの仕事をしてる人の中でも、こんなに描ける人はそれほどにいないですよ」


049_40渡部勇樹_守りたい世界があるから

作者:渡部勇樹

タイトル:守りたい世界があるから

瀬口「これは手練ですね」

由利「慣れているのが伝わってきますよね」

タカヤマ「なんというか、ラノベっぽい雰囲気の絵ですね」

由利「こういった表現の絵で決戦前夜という雰囲気がするのは、みんながこういうイメージの作品をなにかしら見ていて、それらを思い起こしやすいというのがあるからですね。ですので、イラストだけとして見ると、それほどテーマ性は感じられないと思ってしまいます。見せ方としては慣れていると思うんですが、ワンパーツワンパーツを見ていくと、描けていないところもあるかなと感じますね。こういったものは、評価は低いくなってしまいます、個人的にはですが」


047_37大内穂_決戦前夜

作者: 大内穂

タイトル:決戦前夜

タカヤマ「この女の子だけだとちょっとさびしいですね、テーマを見る人に感じさせる工夫をして欲しかったです」

由利「そう思ってしまいますね。残念ながら白と黒の表現も、あまり効果的なものではないです」

タカヤマ「あと、少し表現方法が古いですよね」

由利「我々が若かった頃とあまり変わってないですね」

タカヤマ「横向きの構図なので平面的ですね。漫画家さんやアニメーターさんじゃない限り、立体的な表現とか、前後感覚のある表現って、やっぱり難しいとは思うのですが」

瀬口「そうですね」

由利「まだ純粋な憧れっていうか、好きじゃないけど憧れることってあるじゃないですか。絵を描くのは好きじゃないけど、イラストレーターにはなりたいというか。まだそういった時期の絵なんじゃないかなと思ってしまいますね」

タカヤマ「構図、キャラクターのデザイン含め勉強不足かなと。ちょっと古く感じちゃうんですよね」

瀬口「うんうん」

タカヤマ「剣の先が菱形になってる感じとか、少し古いなって思うんですよ。実在の刀剣の資料ををちゃんと見て描いていないとこんな感じになりがちです。必ずしも流行を追う必用は無いですが、古臭さを感じさせないデザインにはした方がいいと思います」

由利「確かにそれは足りないですよね」


046_36大庭彩香_三つ子の前夜

作者: 大庭彩香

タイトル:三つ子の前夜

タカヤマ「どのようなシチュエーションかわかり辛いかな」

運営部「三つ子ですね」

由利「何かを見つけてきたんでしょうか、地図か何かですかね。ドラゴンみたいなものが描かれていますけれど」

運営部「あー、ドラゴンですね」

タカヤマ「ドラゴン見つけたらいくらとか、勇者ごっこみたいのをやってるのかな」

瀬口「そういった感じなのは分かりますね」

タカヤマ「でも、はっきりとは分からないのでコンテストのテーマと合っているのかというと少しわかり難いかも」

由利「構図的にはそんなに悪くはないですけど、もう少し工夫の余地はあったと思います。技術的にもこれから全然伸びそうですし、淡い雰囲気でまとまってるのも良いですから、また見てみたいですね」


045_35村田美樹_英雄に神の祝福あれ

作者: 村田美樹

タイトル:英雄に神の祝福あれ

タカヤマ「やりたいことはわかるんですよ。色もそれなりに綺麗だし、一生懸命描いてるのは伝わってきて、悪くは無いと思うんですけど」

由利「これもやっぱりセンスですよね。ステンドグラスのようなものを描きたいのであれば、そういった部分をやっぱり詰めないといけない。これから何十パターンも描いていって、技術を持つ必要がありますね」

タカヤマ「こういった感じのものを見てる量も少ないのだと思うんですよね。様々な様式などを見ていくうちにルールみたいのが何パターンもできてくると思うんですよ。こういったものをやるんだったら、左の女神みたいな人に首輪がついてるとか、悪魔の舌が長いといった表現ははしないであろうってのが自分で分かってくるようにもなると思います。もしそれを分かっていてあえてそうするなら、それも何度もチャレンジしていけば上手く馴染むようになると思います、現段階ではあまり馴染んではいない感じがします」

由利「花も浮いてしまっています。中央のバラと、周りの小さな花とじゃ全然違いますよね」

タカヤマ「下の花の方が、絵としての様式とあってると思うんですよ」

由利「同じものを描くわけですからね。同じ花で、同じ植物ですから、同じトーンで描かなければいけないものですね」

タカヤマ「真ん中から下ぐらいは、結構収まりが良く出来てると思いますよ。それだけ、上が少し異質に見えちゃうかな」

由利「これは描かれたのは女性なんですかね」

瀬口「そうでしょうね」

由利「そうなるとモンスターみたいなものが苦手っていうのも分かりますけどね。むしろこの絵で言えばモンスターなどは要らないでしょうね」

タカヤマ「そうでしょうね。花とか模様で埋めてしまっても良かったかな」

由利「おそらくモンスターが敵で、それに囚われている女の人がいて、というイメージなんでしょうけど」

一同「あー」

由利「それでも囚われている女の人が1人でも絵としては成立するんですよね。だから、苦手ならあのモンスターみたいな男の人も削ってしまうのも手だったかなとは思います」

タカヤマ「結構下の方は装飾的に固まってるんですけど、上の方は漫画的な表現なんですよね。そこが全体の雰囲気を悪くさせている原因かもしれないですね」