最近は毎クールアニメ化作品が放映されるなど、何かしらの話題を振りまき続けているのが今の4コマ漫画界です。そんな中から今回は、まだアニメ化・映像化されていない今後の注目作『父とヒゲゴリラと私』をご紹介!この作品、漫画好きの方にざっくりいうと「『よつばと!』+『それでも町は廻っている』÷2」。もちろん、ふたつの作品のパ○リといいたいわけではないですよ?ただ、「面白さの方向性」が似通っていると思うんです。

お話は、「妻に若くして先立たれた男やもめの父とわんぱく少女な娘のみちるのもとに、○○の弟、ヒゲゴリラ(表紙を一目見ればその理由はすぐわかります)こと××がやってくる」というところから始まります。このあらすじと表紙(上に書いた3人が全員出ています)を見て頂ければ伝わるかと思うのですが、この作品の登場人物、よくいえば「まるでどこかにいそうな人達」、有り体に言ってしまえば……かなり「地味」です。
 では、内容自体もパッとしないかといえば、もちろんさにあらず。最適な言い方が思いつかないのですが、コマ回しのリズム・テンポ……「4コマの見せ方」がとにかく上手いんです。1話全体も時系列順に並んでおり、一通り読めば彼らの一日が追える訳なのですが、一つ一つの4コマにもきちんとオチが付いて面白い。4コマ漫画としてあまりにも基本的なことですが、それを毎回、忠実に守れるのは相当な実力がいります。小池先生はこの作品が4コマ漫画デビュー作のはずなのですが、そんな事は微塵も感じさせない安定感があります。どこにでもいるような人達を、お話回しの巧さで見せていく……その手腕は、主人公の女の子の髪の色が緑色であること以外、何も特殊な設定がなくとも面白い、『よつばと!』と通じるものがあります。
そんな4コマとしてのベーシックな面白さの横で、妻が先立ってしまったという事実が否応なく作品の中に陰を落としていきます。そのシリアスで重めな展開の前後を、打ち消すことなくギャグやコメディ的な展開が優しく包んでいく。そのバランス感覚がとても絶妙なんです。シリアス展開は深みが増し、ギャグやコメディの平和な日常部分はその幸福感が際立ちます。そのシリアスとコメディの間のバランス感覚、あるいはギャグでシリアスを包み込む感じは、石黒正数先生の「それ町」と感覚が非常に近いと思います。

現在既刊は2巻までなので、一気読みも簡単です。これを機会に、揃えてみるのはいかがでしょう?

父とヒゲゴリラと私 1 (バンブーコミックス)


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